現代につながる江戸時代からの上水

[ 2018/10/23 ]


かつて世界最大の都市であった江戸から現代の東京に受け継がれている上水
(参照:東京都水道局、「東京水」のデザインをリニューアル。


image from ウィキペディアより

現在、およそ1300万人もの人々が暮らす東京であるが、これほどまでの大都市を形成できたのも江戸時代における干拓や造成など大事業の影響が大きい。その中でも人々の生活に直結する生活用水の確保に幕府は人材と資金を注いでいた。
 江戸城に徳川家康が入城した当時の江戸は利根川が関東平野を縦断して江戸湾に注いでおり、現在の東京とはかけ離れた地形をしていた。かつて江戸は湿地帯が広がり現在の日比谷周辺に漁師の家がある人口の少ない寒村であった。立地としての状況は良いとは言えない江戸であり利根川の度重なる水害に悩んだ。この地域を洪水や氾濫から守るため、その後約60年かけて利根川東遷と呼ばれる大事業をはじめるなど低湿地で湿潤な江戸の土地を乾燥した土地に変えた。

 水害だけでなく、生活用水の確保に江戸の人々は苦労していた。江戸の街は江戸湾につながる多くの埋め立て造成地から成っており、当時の井戸堀り技術ではどこを掘っても塩水を含んでいて飲用に適さなかった。家康はこのため江戸に入った後、ただちに給水対策を立てた。伝承によると水源は現在の豊島区周辺とされ小石川から自然の流れを利用して市中に水を引いた。これが江戸において最初の上水で小石川上水と呼ばれた。その後、人口の増加とともに神田上水など新たに整備を進め、さらに江戸市中への給水量を増やすため幕府は新しく江戸からはかけ離れた場所を流れる多摩川からの導水を計画し、市中の生活を潤した。

 このように江戸における上水の建設は当時世界の大都市では他に類を見ないほど大きくなった江戸の人口を支えるものだった。記録によると1787年の江戸の人口は約200万人と推定され同じ時代の英国ロンドンの89万人、フランスパリの67万人をはるかに上回る。この上水を守るための費用と労力は幕府によって大きな負担だったが、幕府を支えるための最重要施策と位置付けられていたことが伺える。
 蛇口をひねりそのまま口にすることのできる日本の水道水。現在でも日本の上水道技術は世界でもトップクラスであるが、その礎は遥か昔江戸時代に築かれたことが現代でもうかがい知れることができる。


関連する記事

アーカイブス

アリゾナ州立大学 小惑星イトカワの粒子から水の痕跡を発見

アリゾナ州立大学 「はやぶさ」が持ち帰った小惑星イトカワの粒子から水の痕跡を発見 (参照:NASA探査機OSI [&he・・・

記事全文

メタウォーター(株)の共同研究体 下水処理設備を統合制御、国交省事業に採択

メタウォーター(株)を含む共同研究体 下水処理設備を統合制御、国交省事業に採択される (参照:大阪市水道局と日 [&he・・・

記事全文

兵庫県 瀬戸内海への排水基準を緩和方向へ見直し

兵庫県 瀬戸内海への排水基準を見直しへ 基準緩和への動き (参照:浪速工作所と日本スレッド 工業用水を浄化する [&he・・・

記事全文

高知県宿毛市 日本初スポーツクライミング設備のあるダムを整備へ

高知県宿毛市 横瀬川ダムの壁面をスポーツクライミングとして活用へ (参照:日大工学部 水田が持つ貯水機能を活用 [&he・・・

記事全文

東芝 岩手県における工業用水道の浄水場建設事業を受注

東芝インフラシステムズ(株) 岩手県における工業用水道の浄水場建設事業の受注を発表 (参照:三井住友建設(株) [&he・・・

記事全文

CFD販売(株) 水中ドローンを使用したダム点検の実証試験

CFD販売(株) 水中ドローンを使用し、大分県でダム点検実証試験を実施 (参照:(株)ディーゼル・ワークショッ [&he・・・

記事全文

名古屋市 おいしい水道水PRへ向けてPR用300ml缶製造

名古屋市 おいしい水道水PRへ向けてPR用「名水」300ml缶製造 (参照:双葉地方水道企業団 福島の安全な水 [&he・・・

記事全文

三井住友建設(株) カンボジアでの上水道拡張整備工事を落成

三井住友建設(株) カンボジアで上水道拡張整備工事の落成式を挙行 (参照:カンボジア 国内最大級の水力発電ダム [&he・・・

記事全文

大阪市水道局と日立製作所 中長期の水需要予測に関する共同研究開始

大阪市水道局と日立製作所 ビッグデータやAIを駆使した水需要予測に関する共同研究開始 (参照:米Flo Tec [&he・・・

記事全文

ユニセフとWHO 「保健ケア施設における水と衛生」報告書まとめる

ユニセフとWHO 「保健ケア施設における水と衛生」報告書で世界の水供給についてまとめる (参照:IWA世界会議 [&he・・・

記事全文

ニュース一覧を見る


    PR