バラスト水放射線汚染の風評被害-国際社会へ拡散の恐れがあるのか?風評被害拡散防止対策は十分か?

[ 2011/04/27 ]


2011年4月27日、国土交通交省から、外国船舶がバラスト水放射線汚染を警戒し、横浜港東京港川崎港などの関東の主要港から名古屋以西の港に寄港地を移動しているケースががあるとの報道があった。
参考:福島第一原発事故-コンリート破損により高濃度放射線水流出。海水汚染に潜むバラスト水問題

国土交通省・港湾における放射線対策についてimage from 国土交通省

それを受け、横浜市港湾局に問い合わせたところ、現実としては事故直後にドイツなど一部企業でそのような動きがあったということだけで、現在の寄港する船舶量には問題はないとの回答を得た。このとこから、風評被害による外国船舶の動きはまだ表面化しているといえるレベルではないようだ。しかし、今後、福島第一原発事故による海洋汚染のによる被害により、バラスト水への風評被害が国際社会へ拡散する恐れがないとはいいきれない。はたして、風評被害が拡散防止の対策は十分といえるのであろうか。

現在のところ、福島第一原発付近以外の海域では放射線物質の汚染は検出されていない。4月初頭の段階では日本から来る船に対するバラスト水を問題視する声が確認できたのは、平時から日本への関心が非常に高い韓国くらいであった。現在のところ、国際社会では「バラスト水放射線汚染問題」が風評被害として大きく表面化している事実は確認できていない。

ただ、外国人から見たときに、福島県東京都は非常に近く感じるという事実はある。そのため、風評被害はまず観光業界に出た。東京浅草では外国人観光客が激減。売上が10分の1となったという報道もあった。事実、3月の外国人来日数は前年比で50%減となっている。

そもそも外国から見たときに、その国の2つの都市の間がどのくらい離れているかなどという実感が無いのは当然だろう。日本人にしてもロサンゼルスサンフランシスコがどのくらい離れているかなどど地図を見ないで実感できる人は少ないだろう。福島と関東はかなり近いというイメージは国際社会の中に浸透しつつあるのかもしれない。

また、農林水産省で、4月18日に開催された「東京電力福島原子力発電所事故に係る連絡会議」において、日本飼料工業の出席者から、輸入用飼料用穀物を積んだ船が日本を避けるという発言があったことは明らかとなっている。ただし、発言があったことは事実であるが、本当に発言のような事実があったのか、またそれがどのような影響があったのかは確認ができない。

国土交通省では、4月22日に「港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン」を策定し公開済みである。しかし、これはあくまでもコンテナに対するものであり、国土交通省としても、この件は、バラスト水に対する対策とは認識してないとのことである。

現実としては、海洋汚染は関東に広まっているという事態はない。ただ、水道水における放射線量に関し、検出値が厚生労働省や自治体などのサイトで公開されているにも関わらず、ミネラルウォーターの売れ行きが沈静化している気配は見えない。関東周辺ではいまだ購入に際し本数制限されているのが実情である。科学的なデーターの公表が感情に根ざす風評に立ち向かえるかどうかという不安は残る。

日本は海上輸送によって死命を制せられる国である。先の大戦でも海上輸送の遮断が日本の産業界への大きなダメージとなったとことは、米国戦略爆撃調査団の報告にあったとおりである。この点は今も昔も変わらない。海上輸送は日本の命綱である。風評被害は早急にその芽を断つ必要があると考える。


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