厚生労働省 「第2回水道水における放射性物質対策検討会」を開催-水道水への放射性物質影響のメカニズムについて分析

[ 2011/05/27 ]


2011年5月26日、厚生労働省で「第2回水道水における放射性物質対策検討会」が開催された。4月25日の第一回目の開催に続き、水道水の安全性を確保するため専門家による検討が行われた。
(参考:厚生労働省 「第1回水道水における放射性物質対策検討会」を開催-データ収集の強化、情報公開の科学的裏づけに対し提言

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今回の検討会では、「水道水への放射性物質の影響メカニズム」、「水道水中の放射性物質の低減方策」、「モニタリング結果を踏まえた中長期的な取り組み」を議題として開催された。

高エネルギー加速器研究機構の桝本和義氏は「放射性物質の種類と特徴」を解説。同氏は放射性ヨウ素は半減期が短い点。放射性セシウムは沈殿物への吸着性が強い点。この性質を指摘し、水道水への影響は少ないとした。
また、ストロンチウムは濃度が薄いこと。ウランより重い超ウラン元素はその重さゆえに、原発サイトの外には飛散ないこと。この点から現状では、同物質による放射性物質の水道水への影響は少ないとしている。

国立環境研究所の大原利眞氏は、「福島第一原発からの放射性物質の大気中の挙動」を解説。放射性ヨウ素はガス性であり、風の影響により関東地方まで拡散したとした。また、放射性セシウムは、大気中の濃度と降水量がその濃度に影響するとした。

東京大学大学院工学系研究科教授の古米弘明氏は、放射性ヨウ素は3月21、22日の降雨によって多くが流出。セシウムは土壌に吸着し、蓄積されるが流出はしにくいとした。このことにより、より市街地を流れる流域の影響の方が大きいと分析した。

国立保健医療科学院・生活環境研究部水管理研究分野の浅見真理氏が、「簡易モデルによる流域内放射性物質の流出挙動把握」として水道水中の放射性物質の低減方策を提示した。放射性ヨウ素は活性炭、塩素処理との併用で一定の効果を上げることは可能とした。ただし、塩素処理後の水道水に関しては、活性炭による除去は困難となる可能性が高いとした。放射性セシウムは既存のろ過技術である程度の対応が可能であるとした。

東京都水道局水質センター所長の北澤氏は、粉末活性炭・前弱塩素併用処理により50%の除去が可能であるとした。

モニタリングに関しては、今後も長期に渡り続くことが予想される現状に対し、取組体制を整備し、充実することの必要性を確認。モニタリング体制は日本全体で体制を整える必要があると今後の方向性を示した。

全体的に、水道水に関しては現時点では問題が少ないという内容になっている。しかし、この内容が国民に広く提示される機会が無いのである。そもそもこのような検討会の存在すら知らないであろう。ただ役所の内輪で分析だけでしているだけでは、いつまでも国民の不安を取り除くことができない。


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