【コラム】続・避難民キャンプに清潔な水を~日本人ロジスティシャンの活動から~国境なき医師団(MSF)

[ 2011/06/10 ]


※当記事は、非営利で国際的な医療や人道援助を行う民間団体「国境なき医師団(MSF)」様よりご提供頂いております。
(参考:【コラム】避難民キャンプに清潔な水を-日本人ロジスティシャンの活動から 国境なき医師団(MSF)

朝起きて水栓をひねり、眠い目をこすりながら洗顔する――この何気ない、たった1分程度の時間のうちに、日本人は平均して2リットル入りペットボトル6本分の水を消費しているといわれています。ところが世界には、1日の生活のすべてを、ペットボトル710程度の水でまかなわなくてはならない難民や国内避難民(IDP=internally displaced persons)の人びとがいます。

国連の推計によると、2009年には日本の総人口のおよそ4分の1にあたる人びとが、世界各国で強制移動を余儀なくされています。国境なき医師団(MSF)は、武力紛争や迫害から逃れてきた人びとが避難生活を送っている場所で、医療や清潔な水などを提供しています。

2007年から2009年にかけて、アフリカのスーダンやコンゴ民主共和国で援助活動に従事した、MSF小口ロジスティシャンは語ります。

「健康であるということは、日本人であるか、避難民の人であるかに関係なく、だれにでも認められている権利です。」

MSFのロジスティシャンは、病院で使う物資の調達や管理をはじめ、多岐にわたる業務を担当することで、MSFの医療チームをサポートしています。難民・IDPキャンプ内での援助活動の場合、人びとが清潔で安全な環境で暮らせるように給水施設簡易便所の設置などの業務も担当します。

また、経験だけではなく臨機応変な対応が必要とされているのも、この仕事の大きな特徴です。給水用のタンクひとつを設置するにしても、砂漠の奥深くに隠れている水脈からくみ上げたり、山の上にある水源からパイプを通して運んだりと、一筋縄では行かないことが多いからです。

アフリカ中部のコンゴ民主共和国(旧ザイール)国内では、2010年の国連推計だけでも、230万人以上の、隣国からの難民やIDP となった人びとが生活を送っていると言われています。新潟県の総人口に匹敵するこれらの人びとは、住み慣れた家を失い、不自由な避難生活を強いられているのです。過去に、この国で活動したことのある小口ロジスティシャンは、こう説明します。

「多くの人びとが紛争から逃れて暮らしている地域では、民族間の緊張が極度に高まっていることもあるため、注意が必要です。政治的な利害関係から、水源を汚染されてしまわないよう、配水用のパイプが壊されていないか確認することはもちろん、周囲をコンクリートで固めたり、IDPキャンプに設置している水のタンクの周辺にも警備員を配したりと、状況に応じて対応していくことが重要です。」

このように、MSFのロジスティシャンは、活動を通じて人びとを病気から守り、衛生環境の改善に大きくかかわる重要な仕事を担っています。避難生活を送る人びとのそばで活動することの多い小口ロジスティシャンですが、経験を通して得たものは大きいと言います。

「避難生活を送っている人びとは、日々の生活に苦労しています。しかし、それが避難民たちの現実のすべてではもちろんありません。そんな中にも普通の生活があります。私は活動を通じて、とても親切な避難民と数多く出会いました。これは、一生忘れられない大切な出来事です。苦境に立たされている人びとほどたくましく、とても人に親切だということを、MSFの活動を通して知りました。」

21-Kabizo-Hayato&Team

アフリカ・コンゴ民主共和国で、現地スタッフとミーティング中の小口ロジスティシャン。2009年撮影

Image from 国境なき医師団(MSF)

 

―インフォメーション

国境なき医師団(MSF)の活動について知ってください>
メディアで報じられることのないニュース、現場の今を毎日お伝えしています。 MSFのホームページはこちらからご閲覧ください。

<ニュースレター、メールマガジンのお申し込み>
紙面版ニュースレター『REACT』(1年間無料)と、メールマガジンをぜひご購読ください。お申し込みはこちらから

1年前までの『REACT』バックナンバーは、ウェブサイトからご覧いただくことも可能です。ご閲覧はこちらから

※当記事は、非営利で国際的な医療や人道援助を行う民間団体「国境なき医師団(MSF)」様よりご提供頂いております。


関連する記事

アーカイブス

COOL JAPAN AWARD2019 那須の「水庭」が受賞決定

COOL JAPAN AWARD2019 受賞53作決定。「水庭」の受賞も (参照:(株)バスクリン 森林を整 [&he・・・

記事全文

アリゾナ州立大学 小惑星イトカワの粒子から水の痕跡を発見

アリゾナ州立大学 「はやぶさ」が持ち帰った小惑星イトカワの粒子から水の痕跡を発見 (参照:NASA探査機OSI [&he・・・

記事全文

メタウォーター(株)の共同研究体 下水処理設備を統合制御、国交省事業に採択

メタウォーター(株)を含む共同研究体 下水処理設備を統合制御、国交省事業に採択される (参照:大阪市水道局と日 [&he・・・

記事全文

兵庫県 瀬戸内海への排水基準を緩和方向へ見直し

兵庫県 瀬戸内海への排水基準を見直しへ 基準緩和への動き (参照:浪速工作所と日本スレッド 工業用水を浄化する [&he・・・

記事全文

高知県宿毛市 日本初スポーツクライミング設備のあるダムを整備へ

高知県宿毛市 横瀬川ダムの壁面をスポーツクライミングとして活用へ (参照:日大工学部 水田が持つ貯水機能を活用 [&he・・・

記事全文

東芝 岩手県における工業用水道の浄水場建設事業を受注

東芝インフラシステムズ(株) 岩手県における工業用水道の浄水場建設事業の受注を発表 (参照:三井住友建設(株) [&he・・・

記事全文

CFD販売(株) 水中ドローンを使用したダム点検の実証試験

CFD販売(株) 水中ドローンを使用し、大分県でダム点検実証試験を実施 (参照:(株)ディーゼル・ワークショッ [&he・・・

記事全文

名古屋市 おいしい水道水PRへ向けてPR用300ml缶製造

名古屋市 おいしい水道水PRへ向けてPR用「名水」300ml缶製造 (参照:双葉地方水道企業団 福島の安全な水 [&he・・・

記事全文

三井住友建設(株) カンボジアでの上水道拡張整備工事を落成

三井住友建設(株) カンボジアで上水道拡張整備工事の落成式を挙行 (参照:カンボジア 国内最大級の水力発電ダム [&he・・・

記事全文

大阪市水道局と日立製作所 中長期の水需要予測に関する共同研究開始

大阪市水道局と日立製作所 ビッグデータやAIを駆使した水需要予測に関する共同研究開始 (参照:米Flo Tec [&he・・・

記事全文

ニュース一覧を見る


    PR