【コラム】ハイチ 大震災から2年、いまだコレラに苦しむ人びと

[ 2012/01/27 ]


※当記事は、非営利で国際的な医療や人道援助を行う民間団体「国境なき医師団(MSF)」様よりご提供頂いております。
(参照:【コラム】コロンビア 水上のスラムに、清潔な水がやってきた日)

2010年1月12日にマグニチュード7.0の大地震が中南米の島国ハイチを襲ってから、丸2年が経ちました。

依然、復興は進まず、現在も50万人以上の人びとが避難民キャンプで生活しています。
震災前から医療基盤がぜい弱で、上下水道の整備が遅れていたハイチでは、震災直後の緊急事態が収束した今でも、コレラの流行により、多くの人びとが苦しんでいます。

過去100年間、ハイチ国内ではコレラの発症例がありませんでした。しかし、大震災のあとにO1小川株のコレラ菌が、国外から人の移動によって持ち込まれました。
2010年10月ごろには患者が爆発的に増え、その結果、この病気がハイチ全域に広まり、猛威をふるうようになりました。
治療のニーズがピークに達した時には、MSFの医療スタッフ4000人が国内75ヵ所以上の医療施設で、大規模な医療援助を提供しました。

2010年10月から2011年11月にかけてMSFは、17万人近くのコレラ患者を治療しています。

現在、コレラによる感染がピークに達した2010年末と比べて、MSFの医療施設にやってくる新規患者数はかなり減っていますが、それでも、いまだに毎週数百人の患者が来院しています。
衛生状態が改善され、清潔な水を得ることができなければ、コレラは間違いなく再流行します。
現在も全人口の50%近くが飲用水を確保できておらず、80%以上が下水処理設備を利用できない環境で生活しています。
ハイチではだれもがコレラを発症するリスクがあると想定しなければならないのです。

MSFの医療コーディネーター、ウェンディ・ライはこう説明します。
現在も数十万人が仮設キャンプ内の劣悪な環境で暮らしています。国全体で飲料水の供給と衛生施設の整備はごく限られていて、地方とへき地では特に深刻です。この状況が感染症の拡大につながっています。

ブードゥなどの民間信仰が、人びとの生活に深く根付いているハイチでは、呪いのせいでコレラにかかると考えている人も多く、患者のなかには偏見に苦しんでいる人びともいます。
目立たないようにわざわざ遠くの病院にやってくる患者もいるため、治療開始が遅れてしまうこともあります。MSFは、現地の保健省や関連団体と連携し、水・衛生環境の改善とともに、病気を予防するための啓発活動も実施しています。

ハイチにおけるMSFの活動責任者、ジェラール・ベドックは語ります。
首都にある医療インフラの大半は、大地震を受けて消滅しました。再建は長いことかかるでしょう。その一方で、MSFは可能な限り医療の不足を埋めるよう努めるとともに、新たに起こりうる緊急事態に対応しています。コレラはその一例です。

MSFはハイチで、コレラ治療のほか、外科と内科の通院・入院治療、母子保健や心理ケアなどの医療援助も提供しています。

ハイチの首都、ポルトープランスにあるMSFのコレラ治療センターには、いまも連日100人以上の患者がやってくる。
ハイチ、 2011年10月撮影。

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