芝浦工業大学、自然界に存在する微生物を利用したレアメタル回収技術の開発に成功

[ 2013/06/11 ]


2013年6月7日、芝浦工業大学応用化学科の山下光雄教授が特殊な金属代謝機能をもつ微生物を用いて工業廃水に含まれるレアメタルを回収する技術を開発し、レアメタル汚染という環境問題に対応すると同時に、回収したレアメタルを市場価値のある資源としてリサイクルすることを可能にしたと発表があった。
(参照:東北大学 中国大陸から毒性のあるレアメタルが飛来-生態系、人体への影響研究が課題に

Pseudomonas stutzeri NT-I株と生成したセレン

Image from 芝浦工業大学

レアメタルはパソコンや携帯電話、自動車などの製造に不可欠であり、近年、供給不安価格高騰で知られる希少金属である。その一つであるセレンは水に溶けると毒性を示し、体内に入ることで神経障害や脱毛を引き起こすこともある毒劇物で、無意識のうちに環境汚染や人体汚染が進行しているケースも少なくない。また、従来のセレンを含んだ工業廃水の処理は、セレンを凝集するにも多量の化学薬品を使う必要があり、高いコストがかかっていた。廃水からセレン元素を回収する技術はこれまで存在せず、化学薬品を使用するにしても、廃水処理技術として問題はらんでいた。

山下教授は、泥中や川などの自然界に存在する微生物を用いて、工業廃水中のセレンを回収する技術を確立。具体的には、水に溶けた毒性のセレンを不溶化し、無毒のセレンに還元することのできる好気的セレン酸塩還元菌、「Pseudomonas stutzeri NT-I株」を発見。この微生物を工業廃水中で培養することで、水に溶けていた毒性のセレン酸および亜セレン酸が変化して元素態のセレン(固化物)になる。固液分離すると、セレンは固体として濃縮され、これを焼成(焙焼)すると、酸化物セレンになり資源化できる。このように、工業廃水中のセレンの除去と回収に成功した。

セレンは、太陽光パネルやガラスの着脱色剤として利用されており、後にこのような市場価値のある資源としてリサイクルすることを目的としている。また、テルルや自動車モーターの永久磁石などに使用されるネオジムやジスプロシウムなどもこの方法での回収実験に成功して特許を出願済みであり、現在、産業への利用を検討している。

今後は回収元素を広げ、希少金属のさらなる回収を目指すという。


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